ご挨拶

人々が毎日必ず手にする衣・食・住の「住」の中で木という材をもっと身近に感じていただこうと思い、1990年頃個人で木彫りを始めました。2000年に株式会社菊池建築事務所の住宅現場見学会にお越しいただいた方から「木彫りを教えて欲しい」とのご要望があり3人の生徒さんと共にこの会は発足し現在では20名ほどの生徒さんと2名のアシスタントで和気あいあいと運営しております。

主催が工務店という事もあり現場で使用した木材の端材等材料の入手は容易で、特に広葉樹の原木製材で発生する端材は小物造りの格好の材料になります。通常ですとこの様な端材は産業廃棄物として扱われ、二度と日の目を見るようなことはございませんが、熱心な人の手が加わる事により、すばらしい作品へと蘇ります。

鑿、金鎚、鉋等に触れた事のないような方々が、ゆっくりと時間を掛けて丹念に仕上げる作品は、製作者の性格がにじみ出た大変個性豊かな物になります。作品の種類は様々で課題やひな形は無く各個人の自由な発想と創造に委ねます。
基本的に電動機械等は使用せず、手道具で造り上げるのが主文なので、一つの作品を仕上げるのに1年近くかかることも少なくありません。鑿、鉋、鋸等作業の大半が力仕事となる為、腕力、握力等基本的な体力もある程度必要となりますのでじっくりと自分のペースで仕上げる事が大切になってきます。

仕上げの塗料は漆、くるみ油、えごま油等自然塗料を使用しています。特に漆は本格的な拭き漆という技法で何回も塗り重ねてゆきます。瀬〆という最もかぶれ易い無精製の物を使用しますので、弱い方は他の方に頼んで施してもらいます。
教室は隔週開催され、年間スケジュールに合わせて自由に参加できます。入会退会等の手続きは無く、会費は1回に付お茶菓子代として500円頂いております。材料費は特殊な材以外は無料で約20種類の樹種の中から各自好みの材を使用することが出来ます。

月に2回 高根台の教室に同じ趣味の方々が集まり、木彫りを通じて、様々な情報が交換される中で、この会が参加されている方々の人生の楽しみの一部になって頂けることを期待しております。

今回の作品展は発足10周年の区切りとして開催させて頂きました。
端材で造った生徒さんたちの見事な作品と意気込みを感じていただければ幸いと存じます。

2010年3月 菊池木工会 菊池
(発足10周年 作品展にあたり作成した文章です。)

木彫り教室ギャラリー

全ての展示を見る